犬の話
11年間飼ってた愛犬がなくなった。死ぬ前の半年間、自分はろくに家に帰ってなくて、世話もほとんどしなかった。その間にどんどん衰えてたのに、あまり見ることも触ることもなく、その日を迎えてしまった。前日の夜に、もう私とはほとんど会話がなくなっていた母が、兄と一緒に私の部屋にきて「もう、動かなくなって、息だけしてるの。目も、開いたままとじれない。最後だから、お別れしてきな
母のお弁当
私の母は昔から体が弱くて、それが理由かは知らないが、母の作る弁当はお世辞にも華やかとは言えない質素で見映えの悪い物ばかりだった。 友達に見られるのが恥ずかしくて、毎日食堂へ行き、お弁当はゴミ箱へ捨てていた。 ある朝母が嬉しそうに「今日は〇〇の大好きな海老入れといたよ」と私に言ってきた。 私は生返事でそのまま高校へ行き、こっそり中身を確認した。 すると確に海老が入っ
一人娘の結婚式
土曜日、一人娘の結婚式だったんさ。当時俺25歳、嫁33歳、娘13歳。まぁ、要するに嫁の連れ子だったんだけど。娘も大きかったから、多少ギクシャクしながらも数年過ぎた。子供はあえてつくらなかった。収入の問題もあったけど、娘の気持ちを考えたら、子供は娘1人いればいいって事になった。突然嫁が交通事故で逝った。娘17の時。突然2人きりになった&現実味がなくて二人
サンタさんのおくすり
6歳の娘がクリスマスの数日前から欲しいものを手紙に書いて窓際に置いておいたから、早速何が欲しいのかなぁと夫とキティちゃんの便箋を破らないようにして手紙を覗いてみたら、こう書いてあった。「サンタさんへ おとうさんのガンがなおるくすりをください!おねがいします」夫と顔を見合わせて苦笑いしたけれど、私だんだん悲しくなって少しメソメソしてしちゃったよw昨日の夜、娘が眠っ
丸坊主
昔、当時中学生の弟が学校帰りに床屋で丸坊主にしてきた。失恋でもしたのかと聞いたら、小学校からの女の子の友達が今日から登校するようになったからだ、と。彼女は今まで病気で入院しており、薬の副作用で髪の毛が全部抜けてしまったらしい。「女が丸坊主じゃ恥ずかしいって言ってたし、だったら他にも丸坊主がいりゃいいかなと思って。野球部の奴等は元々丸坊主だけど、野球部じゃない丸坊主が
金ピカの時計
大学が決まり一人暮らしの前日の日親父が時計をくれた。金ピカの趣味の悪そうな時計だった。「金に困ったら質に入れろ、多少金にはなるだろうから」そういってた。二年生のある日、ギャンブルにハマリ家賃が払えなくなった。途方にくれていた時。ハッと気がつき、親父の時計を質にもって行った。紛れもない偽者であることが判明した。すぐに親父電話した。俺「おい!偽者子供につかま
ビデオテープ
俺、小さい頃に母親を亡くしてるんだ。それで中学生の頃、恥ずかしいくらいにグレた。親父の留守中、家に金が無いかタンスの中を探しているとビデオテープがあったんだ。俺、親父のエロビデオとかかな?なんて思って見てみた。そしたら・・・病室のベットの上にお母さんがうつってた。『〇〇ちゃん二十歳のお誕生日おめでと。なにも買ってあげれなくてゴメンね。お母さんがいなくても、〇〇
オムライス
20年前ぐらいの前の話当時俺の家はいわゆる片親ってやつで、すげぇー貧乏だった。子供3人養うために、かぁちゃんは夜も寝ないで働いてた。それでもどん底だった・・・俺は中学卒業してすぐ働きに出た。死ぬほど働いた。遊んでる暇なんてなかった。1年ぐらいして同級生に久しぶりに会った。飯食いに行こうって話になった。メニューの漢字・・・読めなかった。読めたのは、一つだけ
じい
俺の近所に住んでた爺さんの話。一人暮らしだった爺さんは子供好きで、ちっちゃい頃の俺もよく遊んでもらってた。ある時、爺さんの家で見た暴れん坊将軍(だったと思う)の1シーンで老中と主役が「じい」「若」と呼び合うのを二人で真似して俺「じい!今日も遊びに来たぞ。」爺「若、よくぞいらっしゃいました。」なんて呼び合って遊んでいた。そんな関係は俺が他県の大学に進学するまで延々と続いていた。