じいちゃんの笑顔

三年前じいちゃんが死んだ。認知症+なんかの病気。
病名はおとんが教えてくれなかったし、聞くのが怖かった。

じいちゃんの認知症は突然始まった。行動言動がおかしくなった。
そこからは早かった。認知症は日に日にひどくなった。一人で何もできなくなっていた。
夜の徘徊だってあった。赤ん坊みたいに世話されてた。そこには全く知らないじいちゃんがいた。
そんなじいちゃんが怖かった。
その日からじいちゃんを避けるようになった。
結局、施設に行くことになった。うちだけじゃ手に負えなくなったんだ。

でも施設生活は長くは続かなかった。別の病気があったから。今度は病院に入院した。
他の家族はお見舞いに行っていた。でも自分は受験だから、と行かなかった。そんなの言い訳だった。
ガリガリに痩せて、家族のことも覚えていないかもしれないじいちゃんに会うのが怖かったから。
今思うと後悔してる。お見舞いに行ってあげれば良かったんだ。

それから一年ぐらいたった。その間、じいちゃんは別の病院に移った。
どうやら前の病院に遠まわしに「出ていけ」と言われたらしい。
理由は知らない。でもじいちゃんはやっかいな患者だったのかもしれない。
俺んち金持ちじゃないし、認知症に病気まであったんだから。

自分がお見舞いに行ったのは年明けの寒い冬の日だった。
母親に年明けのあいさつをしに行こう、と言われた。その時の母親の目が状況の深刻さを訴えていた。
俺は察した。じいちゃんの状態が悪かったんだ。

一年ぶりに会うじいちゃん。病室に行くと、じいちゃんは寝ていた。起きる気配はなかった。
その姿を見てびっくりした。喉に管が通ってて、顔がガリガリに痩せていて、涙が出そうだった。
それから花を花瓶に入れたり、簡単な掃除をして帰ろうとしたときだった。
じいちゃんが目を覚ました。
目を細めて俺を見ていた。もしかして、視力も落ちてほとんど見えなかったかもしれない。
俺はじいちゃんのすぐ近くに行って顔を近づけた。

そしたら、じいちゃんが笑った。満面の笑みだった。俺のことを覚えていてくれた。
一年以上会いに来なかったのに、じいちゃんは笑ってくれた。すごくうれしかった。
「また来るね」そういって俺は病室を出た。笑顔のじいちゃんを見たから少し元気がでた。

それから数日後だった。早朝、病院から呼び出された。
病院に着いた時には、じいちゃんはもう死んでいた。静かに目を閉じていた。
悲しすぎる時って涙が出ないんだ、と初めてわかった。

今でもじいちゃんの笑顔が忘れられない。

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コメント

  1. 匿名 より:

    いい話

  2. もも より:

    泣いた。

    おじいさん、きっとあなたのこと大好きだったよ。
    おじいさんの分も、あなたが生きてください

  3. ミミ より:

    うちのひいばあちゃん思い出す…

  4. ともよし より:

    他の家族を大切にする気持ちを、これからはわすれないで。