泣ける話 家族

わたしのせい

母親が脳疾患で植物状態になり、東京で結婚して暮らしていた私は家族とともに故郷へ帰った。
父親と同居して1年半。
もともと、若い頃から父とはケンカばっかだったから、お互い相当我慢したよ。
あの日。父とケンカしたとき。私の口から出た言葉。

「おまえなんか死んじゃえばいいのに!!!!」

その次の日、何のお別れの言葉もないまま父は車の中で心不全で亡くなった。
たった一人で。十三時間も一人で。誰にもみとられることもなく。
発見したのは私だった。すでに死後硬直していた父を必死で助けようとした。
でももう間に合わなかった。

車の後部座席には私の好きな蟹が袋にはいっていた。

私が殺したのだと。
わたしのせいだと。
この3年間そう思いながら私は生きてきた。

知り合いに言われた言葉が私を救ったような気がする。

「あなたの言葉でお父さんは死んじゃったかもだけど・・・
 あなたが殺しちゃったのかもだけど・・・
 でも・・・でもっ!
 お 父 さ ん は あ な た を 愛 し て い た は ず だ よ 」

狂ったように泣いた。子供のようにしゃくりあげ、震えながら泣いた。
そう、私は父に最後にそう言ってもらいたかったのだ。
父が亡くなってから大キライだった父を、ダイスキで尊敬していることもよくわかった。
だから私、母親の面倒見ながらがんばって生きようと思う。

父さん・・・次ももし生まれ変われることができたなら、また父さんの子に生まれてきていいかな。
明日は父さんの月命日だね。
お花買ってこよう。

-泣ける話, 家族
-