泣ける話 家族

ばあちゃんごめん

初めて投稿させていただきます。
このサイトのお話しを読んで、どうしても気持ちを綴りたくなったので、読んでいただければ嬉しいです。

私はばあちゃんが大嫌いでした。
正直、可愛がってもらった記憶もないし、すぐ近所に住んでいるのにすれ違ってもお互い無視する程でした。
たまに家にきても挨拶も話しもしない、ずっとまともに会話した事もありませんでした。

たまに皮肉を言いたげな目で私を見るばあちゃんを、私は
「早くくたばってしまえ」
とまで、思っていました。

でもある日から、ばあちゃんは具合を悪くし入院しました。それからは病台もどんどん悪化し、痴呆も患い、なのに私は一度もお見舞いに行きませんでした。

しかしある晩の事です。
布団の中でなかなか寝付けないでいると、無性に悲しくなってきました。
涙がどんどん溢れ、ばあちゃん死なないでよって、今までの私からは想像できない思いでいっぱいになりました。
胸騒ぎが取れなくて、一刻も早くばあちゃんに会いたくなった。

それからやっと少し寝付け、朝方目を覚ますと親から電話があり、
「ばあちゃん亡くなったよ」
と、告げられました。
でもその時は、昨晩の事が嘘の様に泣けませんでした。
葬儀の日も、ずっと泣けませんでした。

それから数日たって、母親がポツリと言ったのです。

「ばあちゃんね、あんたの事心配しとったよ。あんたが高校卒業してちゃんと仕事あるかとか、ここの病院で働けるように頼んでみるとか…。
痴呆で何もわからんのにね、あんたの事ずっと心配しとったよ」

私はそれを聞いて、部屋で独り泣きました。大きな声をあげて、ずっと泣きじゃくりました。

ばあちゃん、ごめん
私、ばあちゃんに嫌われてる思ってたから、ばあちゃんが嫌いやったんよ
本当はばあちゃんに好きになってほしかったんよ
なんに、変な意地張ってごめん

ばあちゃんと、ちゃんと話したかった
誕生日にプレゼントあげたかった
お見舞い、一度でもいいから行けばよかった

ばあちゃんに自分の声で、
「ありがとう」
言いたかったよ

ごめん、ばあちゃん
嫌いでもいいから、今隣に居てほしかった

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