泣ける話 家族

母さんごめんなさい

今日正社員の面接行ったのね。もうこれで11社目。
今まで全部駄目だった。

それで、その日は車で母も用事があったし、近くだったんで、母さんが運転するよ、と付き添ってくれた。
駐車場の社内に母を待たて面接してもらった。

出てきたのは社長と人事課長。社長が絵に書いたような悪人顔でさ。
たばこふかしながら履歴書見て
「何この転職回数?あんたもう36だろ?」
「働いた経験が長いったって、こんなの職歴なしも同然だろう?」
「精神の病気だかなんだかしらんが、うちでそんなの雇うわけない、辞められたら無駄だし、もう帰ってくれ。用はないだろ。終わり終わり」

車に戻ると母は面接には触れず、
「また寒くなるんだって、今ラジオで行ってた」
「ごはん食べて帰ろうか」って。
無言のままうどん屋に入って、カツ丼を食べた。

そしたら母親が「受かるといいねー」って言うからさ、俺答えに困っちゃってさ。
で、いろんな言い訳考えた末に正直に「いや、駄目だったんだ、今日も」といった。

母親、「また次も送っていくよ、カツ丼、あんまりおいしくなかったね」だってさ。

今頃になって泣けてきたよ。情けねーなー。就職してーなー。
今まで何やってたんだろう。

母さん、就職できたらおごってくれたお礼に、今度は何かおごるよ。
うまくないカツ丼じゃないところに行こう。

この歳になって言うのもなんだけど、母さんごめんなさい。

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