不器用な父

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学生時代、書類の手続きで1年半ぶりに実家に帰った時のこと。
本当は泊まる予定だったんだが、次の日に遊ぶ予定が入ってしまったので
結局日帰りにしてしまった。

母にサインやら捺印やらをしてもらい、帰ろうとして玄関で靴紐を結んで
いると、父が会社から帰ってきた。
口数が少なく、何かにつけて小言や私や母の愚痴を言う父親のことが苦手で、
一緒に居ると息苦しさを感じていたの私は、父が帰宅する前に帰ってしまいたいというのも、
日帰り、ひいては通えない距離の学校を選んだの理由の一つだった。

父が、「お前、泊まるんじゃなかったのか」と訊いたので、
「ちょっと忙しいから」とぶっきらぼうに答えると、
手に持っていたドーナツの箱を私に差し出し、
「これやるから、電車の中で食え。道中長いだろうから」と言った。

駅に着くと、電車は行ったばかりのようで人気がなく、30分は待たされるようだった。
小腹が減ったので、父からもらったドーナツの箱を開けた。
3個ずつ3種類入っていた。
家族3人でお茶するつもりだったんだなぁ。
でも、私が9個貰っても食べきれないよ。
箱の中を覗き込みながら苦笑した。

その直後。
あぁ、あの人は凄く不器用なだけなんだろうなー。
ふとそう思うと、涙がぼろぼろ出てきた。
様々な感情や思い出が泡のように浮かんでは消えるけど、
どれもこれも切なかったり苦かったりばっかりで。

手持ちのポケットティッシュが無くなっても、ハンカチが洗濯して干す前みたいに濡れても涙は止まらなくて、結局、一本あとの電車が来るまで駅のベンチでずっと泣き続けていた。

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『不器用な父』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2012/12/24(月) 00:51:48 ID:7b211c32d 返信

    男って...
    親父ってもんは...
    いつだって不器用な生き物なんだょ(*^^*)

    いい親父さんだね(*^^*)

  2. 名前:サクラ 投稿日:2013/04/12(金) 22:47:52 ID:b500b2ac0 返信

    いいお父さんだ。
    お父さん・・・会いたいな。天国でも
    無愛想なんだろうけど、
    嫌われないようにね。みんな
    心配するから。私たちのお父さん。

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